大人の保健室では、”学生時代に教わらなかった性教育を改めて学べる場”としても活動をしております。
今日は
『学校で教えてもらえなかったのに本当はちゃんと知っておかないといけない性教育 第1位』の
”女性の生理について”お伝えいたします。
私が学生の頃は生理について学ぶとき、男女別れて話を聞きました。女子が生理について学んでいるとき、確か男子はコンドームについての話を聞いていたと思います。
今から考えればどちらも両方知っておかなければならない話ですよね。
『生理』については間違いなく、学生時代に教わらなかった性教育のせいで大きな弊害が起きています。
生理には個人差があることや、痛みの重さを皆に教えてもらえなかったせいで、生理に苦しむ女性がどれだけ社会活動を狭められてきたか。
「病気じゃない」と言われ、気遣ってもらえず余計に苦しんでいることか。“生理休暇”とは名ばかりで、取ったらあとで何を言われるか。
周知が可能な義務教育で適切な教育がなされていれば、もっと過ごしやすく生活出来るのではないかと思います。
”生理のしくみ”に関して、正しい用語を使った説明は様々なサイト(特に生理用品のHPは詳しく載ってます!)に書かれているので、こちらでは小さなお子様でも理解できるよう図解にして書いてみました。
生理のことを全く知らない男性にこそ、ぜひ読んでいただきたいです!
<生理とは>
生理は、赤ちゃんを生むために準備されていた子宮内部の組織が、受精しなかったことから不要になり、血液と一緒に身体の外に出る現象のことを言います。
生理の周期は約4週間(28〜30日)が1サイクルです。
子宮内部の組織や血液が身体の外に出ることで、子宮内部の環境はキレイになり、次の妊娠に向けてまた準備を始めることができます。
【図解で解説!】

子宮(しきゅう) =受精卵が着床し、赤ちゃんとして育つ部屋
卵巣(らんそう) =たまご(卵子)が育つところ
膣(ちつ) =精子が入ってきたり、赤ちゃんが出たりする道
(セックスの時にちんちんをいれるところ)
※子宮の入り口はとても狭いので、精子は通れるけど、どんなに大きくてもちんちんは子宮には入りません
<生理のしくみ>
生理が起こる周期は、排卵の準備をする「卵胞期」、卵子が排出される「排卵期」、卵子を育てる準備をする「黄体期」に分かれ、「生理」が来てリセットされる仕組みになっています。
①卵胞期(らんほうき)[生理終了後から1週間]

卵子は産まれたときから卵巣にたくさんあります。
毎月脳から指示が出て、その中のいくつかの卵子を受精ができるように成長させます。
子宮では”精子と受精した卵子”=”受精卵(じゅせいらん)”を迎えるためのベッドメイキング(血液でつくる)が始まります。
②排卵期(はいらんき)[排卵日が最初でその後の1週間]

成長した卵子の中から選りすぐりの1個が排卵されます。
子宮のベッドメイキングは完成し、フッカフカのお布団の状態になります。

卵子の寿命は12〜24時間。
精子の寿命は3〜5日間。長いものは7日間も生きることも!
精子があらかじめ待っているか、卵子が出たときにちょうど入ってくるかのタイミングで受精できます。
③黄体期(おうたいき)[生理前の1週間]

受精するとフカフカのお布団で休むことができるのですが、受精しなかった精子と卵子は体内に吸収されたり排出されたりします。
ベッドを崩す準備が始まるので、体にだんだん不調が出てきます。
④生理(約1週間)

使わなかったお布団は古くなってしまうので捨てます。これが『生理』です。
子宮内を一旦整理するのです。
来月はまた新しいお布団を作ります。妊娠しない限りこれが毎月行われます。
<月経周期>

女性の”月経の周期”のスケジュール表です。
なんと、1ヶ月で本当に元気な期間は『卵胞期』周辺の1週間前後!
あとは黄体ホルモンの影響で心や体へ不調が出やすくなり、それがなくなったと思ったら生理痛でお腹が痛くなったりします。
<特に男性に知ってほしいこと>
[生理痛]
④の生理の時期に起こる症状をまとめて『生理痛』と呼びます。
主な症状が、強い下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、下痢…など
原因は、経血を押し出す時の子宮の収縮やホルモンバランスの崩れによる骨盤内のうっ血などです。生理はベッドとして作った子宮内膜を壊して、その残骸(血)を子宮から排泄させるために、子宮が収縮するので、それが主な痛みの原因になっています。
《生理の痛みを男性に例えると…》
男性の産婦人科の先生いわく、
”腰に20kgの重りをつけ続けながら、タマタマをギューーーっと握り潰されている感じ”だそうです!
それが3日間くらい、起きている時も寝ている時も続きます。
想像してください。それが50歳くらいになるまで毎月起こります。
[生理前の不調]
③の黄体期に起こる、『PMS(月経前症候群)』と『PMDD(月経前不快気分障害)』
この黄体ホルモンというものがとても厄介なもので、お腹の張りやダルさなどの体の不調から、イライラや憂鬱などの精神的な不調も引き起こします。
生理前5日〜生理後3日程度の間に起こる症状で、生理が来ると解決してしまうため、重い症状にも関わらず実は女性自身も気づいていないことが多いです。
特にPMDDは強い不安や抑うつ感、怒り、悲しみ、絶望感、緊張感などがあり、「生理前限定のうつ病」とも呼ばれています。
これらは立派な病気で、なりたくなくてもなってしまう辛いものなので、周りの人が労ってあげると少し楽になるので知っていてほしいです。
<正常な生理、異常な生理>
生理は個人差があるため、目安を知っておくと体の異常がわかりやすくなります。
[正常な生理]
生理の周期:25〜38日間
予定日の前後2〜5日程度ならずれても正常。精神的なストレスで1週間くらいずれることもある。
生理の期間:3〜7日間
量:20〜140ml
生理痛はいつもの日常生活が送れ、市販の鎮痛剤でやわらぐ程度なら心配ない。
[異常な生理]
・頻発月経 : 1ヶ月に2〜3回と生理がある状態
・希発月経 : 周期が39日以上ある場合
・過多月経 : 生理の期間が8日間以上続いたり、怖いほどの経血量やレバー状の大きなかたまりが出たりする
・過少月経 : 出血して3日以内で月経が終わったり、2日目でもナプキンの交換が必要ないほど少量の場合
このような症状の方は病気が隠れている場合もあるので、婦人科に相談に行ってください。
<生理の個人差>
<生理のしくみ>を見てもらうとわかるように、赤ちゃんを迎えるためのベッドには大量の血液が使われるので、常に貧血を起こしやすくなります。女性が貧血になりやすいのはそういうことなんです。
生理は同じ人でも月によって全く違います。分泌されるホルモンの量も月によってバラバラなので、月経痛が酷過ぎて起き上がれない月もあれば、軽くてケロっとしている月もあり、一定ではないところが周りからの理解が得づらいところなのだと思います。
同じ女性でも生理が軽い方からしたら”重い”ということがわからず、お腹を抱えてうずくまっている女性に対し「何をおおげさな」なんて言う方もいます。
生理が辛く、家で寝込んでいる女性もいれば、タンポンを入れて泳ぎに行ってしまう女性もいる。ただ総じて言えるのは、基本的に生理は不快で、重い生理は辛いんです。
私個人の話で言うと、今までに起き上がれないほどの生理痛は2回ほど経験しました。たぶんすごく少ない方だと思います。
下腹をずっとドンドン殴られているような、内臓を絞られているような痛みに加え、腰から背中が異常に痛く、立ってても痛い、寝ても痛い、痛くて寝られなくて本当に辛く、とても外に出られる状態ではありませんでした。
それ以外には”腰が重い”感じの鈍痛は何回もあります。
ただ今はほとんど生理痛はなく、生理の経血量も”多い日用のナプキン”は必要ないほどの量で、とても軽いです。
おそらく低用量ピルを服用しているからだと思います。
重い生理痛を経験した時、ちょうどコンドームだけの避妊に不安があった時だったので、『低用量ピルを飲むと避妊効果に加え、生理痛も軽くなる』という話を聞き、飲み始めました。
低用量ピルは排卵を抑制し子宮内膜の増殖を抑えてくれます。
子宮内膜の増殖を抑えるということは、ベッドをフカフカの状態にさせないということ。つまり、血液をあまり使わずベッドが薄くなるので、子宮から絞り出す量も少なくて済むということ。なので生理痛が軽くなるんです。
それ以来たまに腰が重くなる時もありますが、基本的には軽いので助かっています。
ただ生理痛はピルのおかげで軽いのですが、ここ1年くらいPMDDの症状が出るようになりました。
(※これは低用量ピルは関係ありません。むしろ低用量ピルはPMSやPMDDの症状も軽くしてくれます)
自覚してからはまだなんとかやりきれるようになったのですが、精神的な不調というのは辛いものがあります。
自分でも鬱っぽくなんてなりたくないのに、なってしまうことがすごく嫌です。
私はなるべく人に言うようにして、友人とご飯を食べに行き、「私もそうだよー」と言ってもらったりして話すと少し楽になるので、周りの支えがあって頑張れる、という状態です。
体の痛みにはただひたすら耐えるしかなかったりするのですが、精神的な痛みはひとりだと辛いんですよね。
そんな不調を引き起こす『生理』。
赤ちゃんを産むためには大事な機能なのですが、女性しか味わわない辛さなのでせめて男性にもわかってもらえたらと思うんです。
皆、そのような辛い『生理』を乗り越えてきたお母さんから産まれたのです。
ぜひ世の女性達も労ってもらえたら嬉しいです。