毎週金曜日は映画マニア瀧本による”大人の金曜ロードショー”【性描写のある映画】をご紹介いたします。
今回はスペクタクル超大作の『タイタニック』です。
私はディカプリオが大好きなのですが、『タイタニック』には不満がありまして。
『タイタニック』の前に制作されたディカプリオの代表作『ロミオ&ジュリエット』(協会のインスタの方でレビュー書いてます)が最高に好きな作品で、あの世界観もディカプリオとクレア・デインズの二人が愛し合った姿も大好きだったので、『タイタニック』を初めて観た時、ケイト・ウィンスレットがあまりにふくよかな体型で、年齢も17歳役なのに30歳くらいに見える風貌だったので、「新しい女、ブーちゃんやん。。」とがっかりしたのでした。
(ケイトごめんなさい。今は良さがわかるようになりました。)
『タイタニック』はいわずもがな名作で、涙を流すほど良いシーンがたくさんあるのですが、とにかくケイト演じるローズがなんか嫌いで毎回見るたびイライラしていたのですが、今回好きになれなかった理由がわかりました。
ローズって強か(したたか)なんです。
これ結局ローズに男二人が弄ばれ、人生破滅させられる映画です。
<主要人物>
ローズ:上流階級の人間だけど、家が借金抱えて金持ちのキャルと結婚させられることになってる17歳。自殺しようとしたところを助けてくれたジャックに惹かれる。
ジャック:ギャンブルで資金を稼ぎながら世界を旅する画家志望の青年。ローズを見かけて気になっていたら、自殺しようとしていたので助けたところ、もっと好きになる。
キャル:大富豪の御曹司。贈り物や金で人を動かそうとする。性格は悪いが仕事の手腕はある。ローズのことは愛してる。
《ローズの強かさ①》
キャルにジャックと一晩中遊んだことをめっちゃ怒られて、「もうあなたとは会わないことにする」とジャックに言ってたのに、速攻船首で夕日浴びながらジャックにめっちゃキスする。
(かの有名なタイタニックポーズ)

《ローズの強かさ②》
婚約者がいるのに、ジャックを自ら誘って自分のヌードデッサンを描かせる。裸なのに、首には婚約者キャルにもらったばっかの2億の宝石つけてる。
キャルは嫌いでも宝石は外さない。

《ローズの強かさ③》
キャルの追っ手から免れるために車庫に隠れたローズとジャック。
その場にあった車に乗り込み、外の運転席でかわいくふざけるジャックをすごい力で持ち上げながら車内へと引きずり込み、ジャックの胸ぐら掴んで自分に寄せ、握り合っていたジャックの手の指を半舐めしながらキスし、自分の胸を触らせコトに至らせる。
他人の迷惑も省みず、他人の車の中でセックス。

魔性の女というよりは、ただの強欲女にしか見えませんでした。
ジャックがハイパーイケメンなのでそうなってしまう気持ちはわかるのですが、どうも品がない感じがして…
政略結婚に絶望して、自由に生きるジャックに惹かれてジャックと生きようとするのなら、とりあえず2億の宝石はキャルに返そうよと。
強かな女の、好きになった男をセックスに誘い込むまでの手口がわかる映画ですが、描写は素敵なところがありまして。
車の中でコトに至っているシーンでは、息と体から発せられた熱で車内が曇り、触れた窓ガラスに手の跡がつくという色っぽいシーンがあります。
最初に観たときは「外寒いのかな?」くらいで、なぜ曇るのかよくわかっていませんでした。
意味が理解できるなんて瀧本は大人になりました。
これぞ大人の愛の形
“性描写”とは違うのですが、船が沈み始めてから死を覚悟した老夫婦が、二人でベッドに横たわりながら最期を迎えるシーンがあります。

この老夫婦の姿が、これまでの二人の関係性を物語る姿に見えるんです。
女性の背中から男性が両腕を回して手を握り、包み込むように抱きしめて寝るスタイル。
これ背中に安心感を感じられて個人的に超好きなスタイルなのですが、年老いた夫婦がこのスタイルで最期を迎えるって、歳を取っても“家族愛”ではなく、女性として男性として愛し合っていたんだなってわかる感じがするんです。
このご夫婦は実在した人物で、米百貨店メイシーズの経営者の方だそうです。

二人はすごく仲が良く、街中で手を繋いだり、キス、ハグ、時には人目もはばからず愛撫までしていたそうな。
当時社会的地位のある方が人前で愛情表現をすることはとてもめずらしかったそうで、そのくらい強い絆で結ばれ最後まで愛し合っていたそうです。
実際のタイタニック号の事故の際、二人はファーストクラスの乗客なので優先的に救命ボートに乗れたそうですが、イジドー(旦那さん)は「女性と子供全員が乗るまでは乗れない」と言って乗ろうとせず、アイダ(奥さん)も「私達夫婦は40年も素晴らしい人生を”ともに”過ごしてきた。あなたが乗らないなら私も乗らない。」と言って、自分も寒いのに着ていたミンクのコートをメイドに着させ、「救出されるまでは体を温めてくれると思うわ」と伝えたそう。
実際はベッドではなく、甲板の上で波に飲まれてしまったそうですが、彼らを最後に見た目撃者いわく、二人は最後まで抱き合っていたそう。
キャメロン監督はそれを知りつつ、映画ではシチュエーションを変えたそうですが、ベッドで後ろから抱きしめながら最期を迎える表現にしたことで、歳を取っても”男と女”でいたことが現れている感じがします。
勃たなくなったとしても、濡れなくなったとしても、二人なりのやり方で愛のあるセックスをし続けていたのではないのだろうか、と思うのは考えすぎでしょうか?
ジェームズ・キャメロン監督が伝えたかった思い
ローズが優先的に乗せられた船に乗って普通に救助されていたら、ジャックはサバイバル能力高いから多分生きていられたと思うんですよね。
でもジャックと居たいからローズは戻ってきちゃった。だからローズを守りきるためにジャックは死んだ。
ローズは映画の最後、実はずっと持ち続けていた2億の宝石を持ってて、それ海に落とします。
瀧本はずっと思ってました。
それって別にジャックとの思い出じゃないよね?キャルがあげたやつだよね?しっかり持ってて2億の宝石ずっと堪能してたんだね?
100歳超えてたら別に財産にしなくていいし、海に捨てたってどうでもいいよね?
それせめてキャルのお墓に入れてあげなよ。
と思ってしまい、最後ローズの夢の中でローズとジャックが乗客に祝福されるのを不服に感じていました。
ローズはタイタニック号から帰還した後全く別の男性と結婚したにもかかわらず、ひどい振り方をした婚約者にもらった宝石を後世大事に持ち続け、自分を助けるために死んじゃった男性を想って最期を迎えるんです。
キャルもジャックもかわいそうだけど、ローズの記憶の片隅にこれっぽっちも残っていない、帰還した後に結婚した旦那さんかわいそ過ぎる!
とりあえず、本能のままにやりたいことやって、周りのことあんまり考えないで好きな人のこと「好き好き一生好き!!宝石くれた人?忘れた!これはジャックとの大切な思い出!!」って思ってたら100歳まで元気に生きられて幸せに死ねるんですかね。
年老いたローズがこんなセリフを言っています。
「女性の心は、秘密に彩られた深い海のようなものよ」
監督のジェームズ・キャメロンは私生活で結婚と離婚を繰り返しており、このセリフに強い思いを入れ込んでいたそうです。
”女性心を理解しきることの難しさ、そしてそれに溺れるとよくない結末を迎える(映画ではジャック・キャル、共に死)”ことを示唆したのだそう。
やはり、本来『タイタニック』はローズに男二人が弄ばれ、人生破滅させられる映画だったんです。
ジェームズ・キャメロン監督がとんでもない総工費をかけて世の男性に伝えたかった思い、
「女に溺れるとイケメンでも金持ちでも痛い目みるぞ!」
のメッセージをぜひ汲み取った上で観てみてください。
多分民法で流すときはセクシーなシーンはカットされているので、レンタルで観ることをおすすめします!